「グローバル・フィンテック株式ファンド」、コロナ後の「ニューノーマル」で注目度上昇へ

 「ロボット関連」や「5G(第5世代移動通信システム)」と並んでポストコロナ社会で注目度の上昇が見込まれるのが「フィンテック関連」ファンドである。ソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保など対人接触の減少が求められるポストコロナ社会において、オンライン金融サービスや電子決済などの需要が一段と拡大すると予想されるためだ。純資産残高が最大の国内フィンテック関連ファンドは、中期的なパフォーマンスが良好であるほか、コロナショック下でも優れた対応力を見せた。

 マネーフォワード社が26日に発表した「コロナ禍の個人の家計実態調査」(調査対象7827名)によると、回答者の4割が「新型コロナウイルスの影響で、キャッシュレス決済を以前より利用するようになった」と回答し、そのうちの7割がウイルスへの感染予防を目的に利用しているという。新型コロナウイルスの感染拡大を受けてフィンテックの需要拡大の動きが出始めている。

 国内公募追加型株式等投信(ETF除く)のうち、ファンド名に「フィンテック」を含む関連ファンドは10本あり、5月26日時点の純資産残高の合計は3865億円。その中で、純資産残高が最大であるのは1739億円の「グローバル・フィンテック株式ファンド」である。「グローバル・フィンテック株式ファンド」シリーズは、決算回数と為替ヘッジの有無で4本あり、フィンテック関連ファンドの中心であると言える。同シリーズは、個別銘柄の選定において、米国のアーク・インベストメント・マネジメント・エルエルシーの助言を受ける。

 「グローバル・フィンテック株式ファンド」の20年4月末時点の過去3年間のトータルリターン(年率)は17.74%とモーニングスターカテゴリー「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」平均(0.51%)を17.23%上回り、カテゴリー186本中トップ。モーニングスターレーティングは付与が始まった19年12月以降5カ月連続で最上位の5ツ星を獲得しており、中期的な運用成績は良好である。

 コロナショック時のパフォーマンスは、世界的な株安に見舞われた2月の月次リターンが−4.06%とカテゴリー平均の−6.07%と比べて下落幅を抑制。世界的に株式が急落した3月も−15.80%とカテゴリー平均の−16.05%より下落幅を抑えた。一方で、株式が反発した4月は15.69%とカテゴリー平均の9.88%を大幅に超過しており、相場の下落・上昇両局面で対応力が見られた。下落局面では米国のモバイル決済サービスやネット小売関連、中国のEコマース関連が支えとなった。

 「フィンテック関連」「ロボット関連」「5G関連」ファンドはテーマ型ファンドとされ、テーマに対する投資家の関心低下などのリスクをはらむ。一方、新型コロナウイルスの感染拡大はこれまでの社会のあり方を大きく変えるとも言われる。新型コロナウイルスがもたらす「ニューノーマル(新常態)」において、これらのファンドに対する見方に変化が生じるか注目される。
提供:モーニングスター社
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