専門家も迷う2020年末の株価水準、市場の勝者は「テクノロジー」と「ESG」

 コロナショックの急落から回復した世界の株式市場は9月月初までは堅調に推移し、米国株価指数は史上最高値を更新する好調ぶりだった。しかし、9月第1週の週末から市場の流れは急変。市場リーダーだったNASDAQ総合指数は10%を超える大幅安となり、一部に行き過ぎた株高の反動が始まったという見方もある。これから年末に向けて、世界の株式市場の行方をどのように考えればよいのだろう? 欧州の大手運用会社であるナティクシス・インベストメント・マネージャーズがグループのストラテジストやエコノミスト、ポートフォリオマネージャーら計36人の意見をまとめた「ナティクシス・ストラテジスト・アウトルック調査」を9月9日に発表している。

 12月に向けて株式相場が上昇すると予想している回答者は47%、下落を予想しているのは53%という回答となり、専門家の間でも意見は真っ二つに分かれた。ただ、どちらの向きを予想するにしても、今後の景気は「W字型」に推移するという見方が強く、未曽有の規模の財政・金融支援策によって景気悪化に一定の歯止めがかかり、回復に向かっているものの、景気はどこかで行き詰る可能性が高いと考えられている。レポートでは、「2番底は『なるかならないか』という問題ではなく、『いつなるのか』という問題であることを示している」とまとめている。

 そして、今後のリスク要因として、もっとも警戒を要するのは、「コロナの第2波」で回答者の86%がリスク格付けで「5以上」の最大のリスク要因として挙げている。新型コロナウイルスへの感染拡大を抑止できたといえない中で、今後、インフルエンザの流行期と重なると、いったいどのような事態がやってくるのか分からないという不安がある。

 一方、リスク要因としては、今年の大きなイベントである米国大統領選挙の結果については、それほど大きな懸念材料とは見ていない。専門家の78%はジョー・バイデン氏が勝利すると予測し、「世界貿易」「地政学的リスク」「世界経済」にとってはポジティブな影響があると考えている。ただ、「株高」ということであれば、トランプ大統領が再選された方が望ましいという見方だ。

 また、投資専門家の間では、「テクノロジー」が市場の勝者であるとの見方が主流になっている。同様に注目度の高いセクターは「ヘルスケア」、そして、「在宅勤務」に関連した産業という順番になっている。さらに、この3大注目セクターと同等(3番目の在宅機勤務と同点)に注目しているのが、「ESG(環境・社会・企業統治)投資」だ。レポートでは、ESG投資への関心が高いことを「最も驚くべきこと」と紹介している。ESG投資が注目される理由は、今年半年間で市場の下落に抵抗力を示したことが第一。投資専門家の91%がESG投資を市場の勝者と考え、75%が今後より重要になってくると見通している。

 反対に市場の敗者としてランクインしたのは、「伝統的なエンターテインメント」と「旅行」だ。また、「エネルギー」も回答者の77%が敗者になる可能性が高いとみている。

 パリ証券取引所に上場しているナティクシスは、フランス第2位の銀行グループBPCEの子会社で、ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは、ナティクシスの子会社。本社をパリとボストンに置き、運用資産総額は1兆ドル超(9060億ユーロ)に達する。
提供:モーニングスター社
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