新規設定ファンドが6年振りに増加、5本に1本はESG関連ファンド

 2021年は新規設定ファンド数が6年振りに前年比プラスとなる。投資信託協会のデータによると、2021年の11月までに設定された国内公募追加型株式投信(ETF含む、限定追加型含む)は357本。12月は39本の設定が予定されているため、年間では396本となる。ファンドの設定本数は、長期運用の重要性が強調される流れを背景に、2016年以降4年連続で減少し、2020年は前年と同数の297本となっていた。

 増加の要因として挙げられるのが、ESG(環境・社会・企業統治)投資に対する社会の関心の高まりだ。12月21日までに設定された国内公募追加型株式投信(限定追加型除く、ETF除く)は338本あるが、このうち、ファンド名もしくは愛称に「ESG」「SDGs(持続可能な開発目標)」「環境」「気候」「インパクト」「脱炭素」「カーボン」「クリーン」「グリーン」を含むファンドは58本ある。新規設定ファンドの約5本に1本をESG関連銘柄が占めている。

 21年12月21日までに設定された338ファンド(限定追加型、ETF除く)を対象に、設定日残高の上位5ファンドを見ると、「グローバル・エクスポネンシャル・イノベーション・ファンド」「MFS米国中型成長株式ファンド(為替ヘッジなし)」「脱炭素テクノロジー株式ファンド」(愛称:カーボンZERO)、「テトラ・ネクスト」「まるごとひふみ100」となった。

 「グローバル・エクスポネンシャル・イノベーション・ファンド」は設定日残高が2860億円となり、2000年2月の「ノムラ 日本株戦略ファンド」(愛称:Big Project−N)の7898億円、2020年7月の「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)」(愛称:未来の世界(ESG))の3832億円に次ぐ、過去3番目の大型設定となった。同ファンドは、日本を含む世界の企業の中から、既存の技術やノウハウの価値を破壊して全く新しい商品やサービスを生み出す「破壊的イノベーション」により、持続可能な未来の構築に向けた課題解決への寄与が期待されると判断した企業の株式に投資する。

 「MFS米国中型成長株式ファンド(為替ヘッジなし)」は、米国の中型株のうち、商品・サービス等の価格決定力とフリーキャッシュフローの成長力を備えながら、市場で企業価値が過小評価されていると判断した企業の株式に投資する。

 「脱炭素テクノロジー株式ファンド」は、日本を含む世界の企業の中から、温室効果ガスの排出を削減する技術やサービスの提供を通じて、脱炭素社会の実現への寄与が見込まれる企業の株式に投資する。

 「テトラ・ネクスト」では、ナスダック100先物を機動的に活用する。米国の新興企業向け株式市場において日中に発生するトレンドを始め、月初トレンド、月中トレンド、月末トレンドという4つのトレンドに着目し、トレンドを捉える4つの戦略を組み合わせることで、同市場の上昇・下落両局面における収益の獲得を目指す。

 「まるごとひふみ100」は、国内外の株式と債券への投資比率が異なる3ファンドからなる「まるごとひふみ」シリーズの一つで、同ファンドは株式に100%投資する。「まるごとひふみ15」は債券に85%、株式に15%、「まるごとひふみ50」は債券と株式に50%ずつ投資する。
提供:モーニングスター社
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