急落時も投資継続で評価益が拡大、「S&P500」20年間積立投資でシミュレーション
日米株安が止まらない。米国で26日まで開かれていたFOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融引き締めに積極的なタカ派色の強まりが確認され、警戒感が広がっている。同日のNYダウは続落し、27日の日経平均株価は大幅に3日続落して、連日の昨年来安値となった。3月の米利上げ開始方針は予想されていたものの、今後の利上げペースや保有資産縮小の開始時期などは不透明で、市場の不安心理は簡単には解消しそうにない。ウクライナ情勢も緊迫している。今後、一段の下落が起きないとも限らない。
2002年1月から2021年12月までの20年間、毎月2万円を米S&P500に積立投資したシミュレーションを行った。シミュレーションを通して、株価大幅下落時における「長期・積立」の効果を改めて確認したい。
シミュレーションでは、期間中投資を継続した「投資継続」、2008年10月から2009年2月まで投資を停止して翌3月から再開した「投資一時停止(1)」、2008年10月から2009年8月まで投資を停止して翌9月から再開した「投資一時停止(2)」の3パターンを実施した。投資停止を2008年10月からとしたのは、同月がリーマンショックの発生した同年9月の急落に続いて大幅続落し、対象期間20年間(240カ月)において下落率が最大となったためである。「投資一時停止(1)」では、リーマンショック時の最安値であり対象期間中の最安値をつけた2009年2月まで停止した。「投資一時停止(2)」では2009年8月まで停止したが、同月に、リーマンショック発生前の2008年8月から最安値2009年2月にかけての下落幅の半値戻しを達成したことによる(なお、最安値は月末時点をベースとしている。日次ベースでは2009年3月に記録している)。
2021年12月末時点の評価額を確認すると、「投資継続」が1522万円(投資額480万円の約3.2倍)、「投資一時停止(1)」が1466万円(投資額470万円の約3.1倍)、「投資一時停止(2)」が1403万円(投資額458万円の約3.1倍)となった。対象期間のS&P500が概ね右肩上がりであったことから、いずれも投資額を大幅に上回る評価額となったが、「投資継続」が最も良好で、「投資一時停止(1)」を56万円、「投資一時停止(2)」を119万円上回った。
リーマンショック前の2008年8月から最安値2009年2月までの下落率は42.7%に達する。急落による評価損を耐える心理的負担は大きいが、下落時においても定額で粛々と積立投資を続けたことが、その後の株価反転と上昇による恩恵をより多く受ける結果となった。「投資一時停止(1)」においては、最安値を付けた直後に投資を再開したため、その後の株価反転の恩恵を比較的多めに受けられる結果となった。ただ、リーマンショックのような場合において、底打ちを的確につかむのは難しく、投資再開に際しては、「投資一時停止(2)」のように半値戻しを確認したいというパターンが、実際には多いと思われる。なお、2008年10月で損切した場合には、27万円余りの損が確定する。投資を一時停止しても再開すれば評価益を獲得できたが、停止することなく一貫して投資を継続した方がさらに評価益が膨らんだ。
急落時には評価損が発生することもあるが、投資期間が長期であるほど、損失を取り返す可能性も高まる。年配の方の場合は損切を検討した方が良い場合もあるが、投資期間が長い場合は積立投資を継続するよう意識したい。
提供:モーニングスター社
2002年1月から2021年12月までの20年間、毎月2万円を米S&P500に積立投資したシミュレーションを行った。シミュレーションを通して、株価大幅下落時における「長期・積立」の効果を改めて確認したい。
シミュレーションでは、期間中投資を継続した「投資継続」、2008年10月から2009年2月まで投資を停止して翌3月から再開した「投資一時停止(1)」、2008年10月から2009年8月まで投資を停止して翌9月から再開した「投資一時停止(2)」の3パターンを実施した。投資停止を2008年10月からとしたのは、同月がリーマンショックの発生した同年9月の急落に続いて大幅続落し、対象期間20年間(240カ月)において下落率が最大となったためである。「投資一時停止(1)」では、リーマンショック時の最安値であり対象期間中の最安値をつけた2009年2月まで停止した。「投資一時停止(2)」では2009年8月まで停止したが、同月に、リーマンショック発生前の2008年8月から最安値2009年2月にかけての下落幅の半値戻しを達成したことによる(なお、最安値は月末時点をベースとしている。日次ベースでは2009年3月に記録している)。
2021年12月末時点の評価額を確認すると、「投資継続」が1522万円(投資額480万円の約3.2倍)、「投資一時停止(1)」が1466万円(投資額470万円の約3.1倍)、「投資一時停止(2)」が1403万円(投資額458万円の約3.1倍)となった。対象期間のS&P500が概ね右肩上がりであったことから、いずれも投資額を大幅に上回る評価額となったが、「投資継続」が最も良好で、「投資一時停止(1)」を56万円、「投資一時停止(2)」を119万円上回った。
リーマンショック前の2008年8月から最安値2009年2月までの下落率は42.7%に達する。急落による評価損を耐える心理的負担は大きいが、下落時においても定額で粛々と積立投資を続けたことが、その後の株価反転と上昇による恩恵をより多く受ける結果となった。「投資一時停止(1)」においては、最安値を付けた直後に投資を再開したため、その後の株価反転の恩恵を比較的多めに受けられる結果となった。ただ、リーマンショックのような場合において、底打ちを的確につかむのは難しく、投資再開に際しては、「投資一時停止(2)」のように半値戻しを確認したいというパターンが、実際には多いと思われる。なお、2008年10月で損切した場合には、27万円余りの損が確定する。投資を一時停止しても再開すれば評価益を獲得できたが、停止することなく一貫して投資を継続した方がさらに評価益が膨らんだ。
急落時には評価損が発生することもあるが、投資期間が長期であるほど、損失を取り返す可能性も高まる。年配の方の場合は損切を検討した方が良い場合もあるが、投資期間が長い場合は積立投資を継続するよう意識したい。
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