「インフラ関連株ファンド」が堅調、世界株式が低調な中でディフェンシブ性発揮

 「インフラ関連株ファンド」の年初来のパフォーマンスが良好だ。インフレの高進、各国の金融引き締め、ロシアのウクライナ侵攻などを受けた世界株安を背景に、先進国株式に投資するファンドの年初来パフォーマンスが冴えない中、インフラ関連株ファンドの堅調ぶりが目立つ。

 5月25日時点の主要株価指数の年初来騰落率を見ると、米S&P500が−16.74%、日本を除く先進国株式の動向を示す「MSCI コクサイ(ワールド除く日本)インデックス(円ベース)」は−8.95%と大幅に下落している。この結果、日本を除く先進国株式に投資するモーニングスターカテゴリー「国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」に属するファンドの年初来リターンの平均も−6.18%とマイナスに沈んでいる。

 同カテゴリーに属する個別ファンド(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF除く、通貨選択型も除く)の年初来リターンを見ると、対象となる86ファンドのうちリターンがプラスであるのは16ファンドあり、うち、2ケタのプラスリターンとなっているのは8ファンドある。

 この8ファンドのうち、「ワールド・インフラ好配当株式ファンド(毎月決算型)」(年初来リターンは23.60%)、同シリーズの「成長型」(同23.62%)、「ダイワ・インフラビジネス・ファンド−インフラ革命−(為替ヘッジなし)」(同13.71%)、「東京海上・世界モノポリー戦略株式ファンド(毎月決算型)」(同13.29%)、「新光ピクテ 世界インカム株式ファンド(毎月決算型)」(同12.56%)の5ファンドがインフラ関連企業の株式に投資するファンドである。「東京海上・世界モノポリー戦略株式ファンド(毎月決算型)」と「新光ピクテ 世界インカム株式ファンド(毎月決算型)」はファンド名に“インフラ”を含まないが、両ファンドともに、電力、水道、運輸、通信、石油パイプラインといった社会生活に不可欠なサービスを提供する企業の株式を主な投資対象とする。

 インフラ関連企業は公共性の高い事業を展開しており、市場環境の影響を受けづらい。このため、インフラ関連株ファンドも不安定な市場環境下において強みを発揮する。過去5年間(2017年5月〜2022年4月)を対象に、世界の株式が大幅に下落した月におけるこれらインフラ関連株ファンドのリターンを見ると、概ねカテゴリー内で上位となった。

 期間中で世界株式(MSCI コクサイ<ワールド除く日本>インデックス<円ベース>)の下落率が−15.12%で最大となった2020年3月こそ、コロナショックの中でインフラ関連株ファンドのパフォーマンスも低調であったが、下落率−10.60%で2番目の下げ幅となった2018年12月には、運用中の「新光ピクテ 世界インカム株式ファンド(毎月決算型)」の月次リターンがカテゴリー内で上位3%内、「ワールド・インフラ好配当株式ファンド(毎月決算型)」は上位21%内、「ダイワ・インフラビジネス・ファンド−インフラ革命−(為替ヘッジなし)」は上位16%内となった。下落率−8.92%で下落幅が3番目となった2018年10月は、順に上位8%内、4%内、4%内となった。

 直近では、下落率−4.49%となった2022年4月に、「新光ピクテ 世界インカム株式ファンド(毎月決算型)」が上位1%内、「ワールド・インフラ好配当株式ファンド(毎月決算型)」が上位4%内、「ダイワ・インフラビジネス・ファンド−インフラ革命−(為替ヘッジなし)」が上位3%内となり、2020年3月に運用を開始した「東京海上・世界モノポリー戦略株式ファンド(毎月決算型)」も上位1%内となった。また、2021年末を基準として各ファンドとカテゴリー平均のパフォーマンスを見ると、4月以降にカテゴリー平均が落ち込む一方で、インフラ関連株ファンドが底堅く推移していることが分かる(図表参照)。

 年初来の世界株安下において、インフラ関連株ファンドはディフェンシブ性を発揮している。世界株式の先行き不透明感が深まる中、下値抵抗力の強さが注目される。
提供:モーニングスター社
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