波乱相場こそ銘柄選びよりも長期的スタンスに立った資産配分が重要=米モーニングスター

 米大手投信会社バンガードのファンドを熱烈に支持する投資家が集まるイベントがこのほどサンディエゴで開催され、バンガード創設者のジョン・ボーグル氏などと歓談する機会を得た。厳しい相場環境にも関わらず、ボーグル氏の投資哲学を実践する参加者たちが非常に冷静だったことが印象的だった。「ポートフォリオはどのように調整しているのか」との質問に対し、多くの投資家は「いつもと特に変わらない」と答えた。ボーグル氏の支持者は綿密にポートフォリオの計画を立てているため、市場の流れに惑わされていなかった。
 投資に対して自分なりの考えがあれば、相場が大きく動いているときでも感情的にならず合理的な行動をとれる。長期的なリターンの主要な決定要因となるのは株式や債券など様々な資産をどのような比率で組み合わせるかという点だ。銘柄の選択に多くの時間と労力を費やすよりも、自身の年齢やリスク許容度、退職までの期間を考慮に入れ資産配分を考える必要がある。
 現在のように経済の先行きに不透明感が強まる中、一部の投資家は株式市場から資金を引き上げている。こうした投資家は短期国債などの安全資産に固執する結果、運用利回りがインフレ率を上回ることが難しくなる。また、いつ市場に戻ればよいのかという疑問に悩まされ続けるだろう。一方、自らの投資の方程式を持ち、毎月定額で積み立て投資をしている場合、不安感から資産を売ろうとはしないはずだ。401k(確定拠出年金)は給与から一定額を拠出するように設定されているが、一般的な投資信託でも自動積み立てで投資することはできる。
 また、ボーグル氏に見習うべきものとしてコスト意識の高さがある。ボーグル氏の支持者がイベントのために手ごろなホテルを手配し、資料の印刷費の節約にも熱心だったのには驚いた。投資においてもコスト削減は重要だ。アクティブ型投資信託のファンドマネージャーの多くは高い運用費用が足かせとなりベンチマークを下回る結果しか残せていない。反対に、ボーグル氏の支持者は極めて低コストで幅広い銘柄に投資するインデックスファンドを好む。
 来週または来年の株式市場の動きを予想するのは困難だが、税金を取られるのは分かりきった事実だ。米政府による金融機関の救済は税率引き上げの圧力になりかねない。経験豊富な投資家は節税対策も自身でできる資産運用の一つとして考えている。(2008年10月1日付コラムを抄訳)


提供:モーニングスター社
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