損保ジャパンAMがアフリカ株式ファンドを設定へ、「消費拡大を原動力としたアフリカの成長に注目」

 BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)以外の新興国のなかで、今後高い経済成長が期待できる国々としてアフリカ諸国への注目度が高まっている。日本でもアフリカ関連のファンドを設定する動きが目立つ。損保ジャパン・アセットマネジメントは「パン・アフリカ株式ファンド」を30日に設定する。同ファンドはアフリカの経済成長の恩恵を受けることが期待される企業の株式が主な投資対象となる。

 同社の営業部企画グループ マネージャーの芹沢彰宏氏と外部委託運用部マネージャーの尾山元一氏は2日、モーニングスターのインタビューに応じ、「パン・アフリカ株式ファンド」の特徴などについて語った。

 「パン・アフリカ株式ファンド」の投資先となるのは、独立系の投資顧問会社としてはアフリカ最大となるインベステック・アセット・マネジメントの「インベステック・グローバル・ストラテジー・ファンド―アフリカ・オポチュニティーズ・ファンド」と損保ジャパン・アセットマネジメントの「損保ジャパン日本債券マザーファンド」。インベステックは資産残高のうち半分以上をアフリカの市場で運用する「アフリカに強みを持つ投資顧問会社だ」(芹沢氏)という。

 尾山氏はファンドを設定するうえでアフリカに注目した理由について、「投信業界では中国が数年前から注目されていた。昨年はブラジルがブームとなった。その他の国・地域で中・長期的に成長が期待できるのはどこかと探し、たどり着いた答えがアフリカだった」と話した。アフリカの経済成長率は80年から99年まで平均2.5%だったが、2000年から09年までは平均5.2%と成長が一気に加速。IMF(国際通貨基金)の予測では10年から14年まで平均5%の成長が見込まれている。

 尾山氏はアフリカの経済成長を支える3つの要因として、「政治の安定化」「豊富な天然資源」「個人消費の拡大」を挙げた。「近年のアフリカでは個人消費の増加が成長の原動力になっている。アフリカの人口は10億人を超え、中国やインドに匹敵する巨大なマーケットになりつつある」という。

 芹沢氏は「パン・アフリカ株式ファンド」のモデルポートフォリオのセクター配分について、「アフリカと言えば資源のイメージが強いが、実際は色々なセクターに分散している」と説明した。資源の分野では「素材」が16%、「エネルギー」が13%で、合わせても全体の3分の1以下だ。一方、消費関連セクター(小売など景気敏感株、食品・ヘルスケア関連株など)は17%と素材やエネルギーを上回る割合になっている。

 「パン・アフリカ株式ファンド」のアフリカ関連株式の組み入れ銘柄数は30銘柄程度が目安になる。投資対象は成長性や流動性などを考慮して選定される。モデルポートフォリオの国別配分(時価総額ベース)をみると、南アフリカが63%と最も高く、エジプト(9%)、ナイジェリア(5%)と続く。その他(17%)のなかにはアフリカで利益を上げている英国、デンマーク、イタリアの銘柄も含まれている。

 南アフリカへの投資比率が高いのは同国株式市場の時価総額が大きいことが関係している。南アフリカの株式市場の時価総額だけで、アフリカの主要な株式市場の時価総額を合計した額の半分以上を占めるためだ。ただ、組み入れ銘柄がどの地域で収益を上げているかの比率をみると、南アフリカが46%、南アフリカを除くアフリカ諸国が34%となっており、時価総額ベースの国別配分より分散されている。芹沢氏は、「今後は南アフリカだけでなく他の国々でも上場する銘柄が増えると期待されている。時価総額ベースでも南アフリカ以外の割合が高まるだろう」と述べた。(坂本浩明)
提供:モーニングスター社
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