「スパークス・海通・グレーターチャイナ・ファンド」――「ミニQFII」活用し中国株と債券に投資(1)

 東洋証券は11月1日から、中国A株を含めた中国、香港、台湾などのいわゆる「グレーターチャイナ」地域の株式と、人民元建て債券を実質的な投資対象とする「スパークス・海通・グレーターチャイナ・ファンド」の募集を開始した。設定・運用開始日は11月30日。委託会社はスパークス・アセット・マネジメント。実質的な運用は中国大手証券の海通証券(ハイトン・セキュリティーズ)の100%子会社である海通・アセット・マネジメント(香港)が担当する。年2回(原則、5月29日と11月29日)決算。

 「スパークス・海通・グレーターチャイナ・ファンド」は、ファンド・オブ・ファンズ形式で、グレーターチャイナの株式に約50%、人民元建て債券に約50%の比率で投資することを目指す。実質的には、「海通・グレーターチャイナ・プレミアム・ファンド(米ドル建て)」への投資を通じてグレーターチャイナの株式に、「海通・RMB・インカム・ファンド(米ドル建て)」への投資を通じて人民元建て債券などに投資する。

 また、同ファンドでは、香港に拠点を置く100%中国本土資本の証券会社やファンドの現地法人などを通じて外国人顧客が中国国内に投資することが可能な仕組みである「ミニQFII」を活用する予定であることも特徴となっている。

 中国・人民元建て株式(中国A株)や、中国のインターバンク市場で取引されている債券などこれまで投資が難しかった投資対象にも投資が可能となる仕組みとなっている。

 実際の運用を担当する海通・アセット・マネジメント(香港)はこの「ミニQFII」ライセンスを申請中(10年10月現在)であり、年内にもこのライセンスを取得できるとの見通し。同ライセンスの取得に伴って、同ファンドではより幅広い資産の組み入れを行う予定だ。「ミニQFII」制度を利用して希少性の高い中国A株に加えて、中国のインターバンク市場で流通している債券にも投資でき、中国の経済成長をとらえると同時に人民元の上昇による値上がり期待も追求している。

 「ミニQFII」は、02年12月から開始されている「QFII(適格外国機関投資家制度)」と同様に、中国国外の投資家に投資不可能な中国A株への投資を可能とするもの。しかし、「QFII」枠が海外の機関投資家が主な対象となっており、月2回といった換金制限があったのに比べ、「ミニQFII」は申請対象者が香港拠点の100%中国本土資本の企業となる。「ミニQFII」は、金額制限はあるものの、毎日換金が可能。「QFII」を通じた中国A株に投資する際にネックであった流動性が改善される可能性が高い点などが特徴となっている。また、投資対象の債券についても、相対的に利回りが高く、銘柄数も豊富であり、流動性も高いインターバンク市場の債券にも投資できるという。

 「QFII」による規制緩和により、中国はこれまで外国人投資家が投資できなかった中国A株市場の開放への道を進んだわけだが、この開放とともに上海A株市場の活性化も進んでいる。一方で、「QFII」枠を通じた外国人投資家の比率はまだ低いことから、今回の「ミニQFII」を通じた投資により、さらなる上海A株市場の活性化が期待されている。
提供:モーニングスター社
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